6.それでも、いきなり。

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6.それでも、いきなり。

 それでも、いきなり家に知らない人が住むなんて、両親が何ていうか。  わかばちゃんの苦言は想定内のものだったのか、残り少ない力を使って神は作り上げた設定を具現させた。  鳥から光る何かが頭上に降り注がれたが、オレ様自身には何も変化が無いように見受けられた。これで、この街においてだけ、今の設定が働くという話だった。  オレ様は海外に留学していた二人のイトコで、社会勉強のために帰国。出来れば首都圏という意味の分からない願望のため、叔父である平尾家に厄介になるという嘘みたいな話をでっちあげた。  勿論、わかばちゃん達には効果は無いんだが、少なくとも両親にはそれで通用するようになったとか。  ここまでやられてしまったからには、既にわかばちゃんはオレ様を突っぱねる理由が作れなかったらしい。  今この身体は八割方くらい神となっているから、何か悪さをすればいつでも消滅出来る。という約束も後押しになったようだった。  消滅って何だよ、おっかねえ。って思ったが、どの道オレ様は昨日消滅していた筈だったのだ。  バスに揺られて十分程度、コンビニの前の停留所で降りる。  並木道が影を作っているから、そこまで日差しは気にならなかった。わかばちゃん達の家は、その真裏にあった。  白くて二階建てで、小奇麗な普通の一戸建て。こういう普通といわれる家に入るのって、いつぶりなんだろうか。 「それでは今日から暫く、ここが貴方のおうちです」  わかばちゃんが無表情で言ったから、何の感情も込められていないような気がした。  不意に神を探してみたけど、鳥は何処にも居なかった。よろしくお願いしますと、オレ様は深々と頭を下げた。 「……家族として、よろしくね」  はなふさちゃんが囁くように呟いたけど、わかばちゃんは何も言わなかった。オレ様もなんて返していいか分かんなかったから、黙ってコクリと頷いた。  流されたままの状況に、まだまだ頭が働かないから、きっと彼女もそうなのかもしれない。
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