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リビングに通されると、ミルクと砂糖は要るか問われた。
勧められたソファに腰掛けて、両方をお願いした。甘いものを進んで口にはしないんだが、今は脳に糖分が必要な気がした。
わかばちゃんが三人分の珈琲をテーブルに置くと、向かい合うように腰掛ける。
隣のはなふさちゃんは受け取った珈琲に角砂糖を三つも入れていたから、すごい甘党なのかもしれない。
カップを取って大事にかき混ぜるさまを見ると、何かおまじないでもしているように見えた。
「それでは、そろそろ……自己紹介しません?」
困ったような表情のわかばちゃんを見て、オレ様はまだ自分の名前すら口にしていないのを思い出した。
そもそも、わかばちゃんもはなふさちゃんも、神が一方的に名指したから解ったのだ。
「分かった。オレ様は青葉田国往、大学二年生の二十歳」
身長と体重と誕生日。ついでに血液型まで言ったけど、まるで無反応だった。
そこまで聞いてないとかいうツッコミは欲しかった気はするけど、相手は年下の女の子で同世代の男友達じゃない。
部屋が静寂に包まれてしまったから、ここで小粋な冗句でも入れようかと考えた。
どういうネタがいいかと思っていると、はなふさちゃんの方から口を開いてくれた。
「……わたしは平尾はなふさ。こちらが双子の妹、わかばちゃんです。どちらも高校一年生です」
両方とも高校生だって改めて分かったのも驚いたが、はなふさちゃんが姉っていうのも脱帽だ。
わかばちゃんのがしっかりしてそうだからっていう理由があったが、落ち着きがあるって考えれば彼女が姉っていうのも分かるような気がした。
ときに先入観っていうものは、こういう時に邪魔になってくるものだ。下手をこく前に知れて良かったと改めて思った。
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