2.八月二十三日

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2.八月二十三日

 八月二十三日、午前十一時。齢二十にして、オレ様の生涯は終わりを告げた。  見通しの良い交差点、右折レーンでオレ様は信号が青になるのを待っていた。  葉月の陽気は灼熱で、止まっていると汗が出る。いつもなら停車時はニュートラルに入れているけど、そんときは何故か一速でクラッチを切った状態でいた。  鉄馬の鼓動を胸に感じながら、対向車線を睨んでいた。ここで信号待ちが来たら、スムーズに右折出来ないぞ。  決して来るんじゃないぜとか思ったが、そういう時に限ってそれは起こる。一台の銀のセダンが来たから、オレ様は舌打ちした。  まぁ、一台ならば、まだいいか。あれが行った後に曲がればいい。  しかし、対向車線のセダンに違和感を覚える。交差点に差し掛かったにも関わらず、全く速度を落としていない。  信号を見ると、見事に真っ赤。横断歩道をみると、中学生くらいの二人の女の子が話しながら歩いていた。  左右を確認するが、どっちの道からも車が来る気配がなかった。  杞憂であってくれ。  アクセルを入れて、クラッチ離して急発進。  赤信号にも関わらず横断歩道を超えたオレ様は、そのまま交差点の真ん中へ突っ込む。  そして、視界が暗転した。
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