6人が本棚に入れています
本棚に追加
4.とりあえず、ひとまず。
とりあえず往来で謎の鳥と会話するのは、妙な目で見られる可能性がある。
ひとまず人目に付かないところを探したら、警察署の裏側あたりが丁度良かった。ここに人影が無いって駄目だろうとは思ったが、それが丁度良かったから仕方ない。
マンションの下あたりに丁度良くベンチがあったので、姉妹をそこに座らせる。
帰っても良かったかもしれないのに、何故か二人は着いてきたんだ。
いや、目の前で鳥が会話を始めたんだから、ここで去ると気になって眠れなくなるかもだもんな。
おさげの子の方が携帯電話を取り出して、鳥の方へと差し向けた。
珍しい光景だし、動画でも撮影するのか。オレ様の問いに、おさげちゃんは首を左右に振った。
「どういう事かよく分かりませんけど、ケータイ向けておけば他人に見られても大丈夫かと」
これなら知らない人が見ても、新型の機械だとかオモチャだとか思われて済むという考えだった。
しっかりしている上に、機転の利く素晴らしいおさげだと思った。
「お主は変わらず聡いの、平尾わかば」
謎の鳥の一言に、平尾わかばと呼ばれたおさげちゃんが大きな瞳を丸くした。
「な、なんで、あたしの名前を⁉」
どうやら、おさげちゃんの名前は、平尾わかばちゃんというらしい。名前の通り、若々しくて元気そうなイメージの女の子だって思った。
「それは私が主らが一緒に生まれた時から見守っておるからの。平尾はなふさと一緒に」
謎の鳥がショートボブちゃんの方を向くと、あっちもわかばちゃんと同じ表情になった。
「わ、わたしの名前も……」
ショートボブちゃんは、平尾はなふさちゃんって名前なのか。確かに名前の通り、華憐で儚げな感じが可愛らしい子だ。
最初のコメントを投稿しよう!