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5.つまり、これから。
ここでオレ様なりに、神とやらの説明を噛み砕いてみる。
まず、オレ様は死んだらしい。正確に言えば、死ぬ一歩手前だったらしい。そこで神とやらは、神力とかいうものを使って生き返らせてくれた。
しかし力を蘇生に使ってしまったが故に、神は自分の姿を保てなくなってしまった。そこで一番消費の少ない鳥に扮して、こちらへ来たとか何とか。
そこまでしてオレ様の前に来た理由は二つ。
一つは街から出れない旨を伝える為。神力によって蘇った身体は街に結びついてしまっているので、出たら死んでしまうらしい。
その状態をどうにか出来る手段が、もう一つの理由だ。これからオレ様は、神に力を溜める手伝いをしないといけなくなった。
神力とやらが戻れば、結びついたオレ様の身体は街から切り離すことも出来るし。
神が鳥の姿にならずとも、街を護れる存在に戻れるのだとか何とか。難しくてよく分からんが、要はそういうことらしい。
それでは、どうやって力を溜めるか。それは街の人の感謝が必要となる。
平たく言えば、神力は神への感謝で溜まるもの。しかし祭りも終わってしまった今、大きく力を溜める行事なんてものはない。
そこで街に結びついてしまったオレ様の存在が、鍵となるらしい。街の人々の感謝がこの身体を通じて神の元へと届き、それが神力になるのだとか。
つまり、これから、このオレ様は、この街に留まって住人の感謝を溜めなければならないのだという。
「無理というのならば、私の力を返してもらおうか」
顔が鳥だから表情も何も無いのだが、神が真顔で恐ろしいことを抜かした。力を返すと地に帰ってしまうのは、今の説明で充分理解が出来たのだ。
「あの、つかぬことを抜かしますが……」
相手が神と分かった途端、手のひらを返してしまうのは仕方ない。オレ様は恐る恐る挙手して、一番気になることを訪ねてみた。
「自分がこの街に居る間……どこに住めば」
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