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クラス内いじめ-あまりにも醜いニキビだらけのクラスメイト-
優子は、目の前で起きている、その悲惨すぎる光景を
黙って、見守っているしかなかった。
クラスの5人の女子たちが、寄ってたかって、
ある小太りで汗まみれな男子生徒をいじめ倒していたからだ。
「おーいお前さぁ、、なんでそんなチビなの?(笑)
しかも、顔面じんましん並みにブツブツじゃん?きもいんですけど。笑」
「ニキビケアの顔面保湿クリームさぁ、、貸してあげようか?笑
うち、集合体恐怖症だからさ、お前みたいな奴、超~目障りなんだよね~?」
「やめなよ、幸恵!それじゃあ、その保湿クリーム使えなくなっちゃうよ?」
クラスに、はびこるギャルたちは、これでもかというほどに男子生徒が
抱えているであろう、コンプレックスをふんだんにいじり倒していた。
わたしは、そんないじめられる彼に、同情のまなざしを向けてはいたが、
それでもあれほどまでに、気持ちの悪いあの子を、
助けようとは、正直これっぽちも思わなかった。
いかついギャルたちに、あれだけいじめられている最中でもなお、、
彼の毛穴からはドロドロと汗が噴き出て、白のカッターシャツがぐちょぐちょ
にまで濡れ、中のたるんだ肌にべったりとくっついていた。
ブタのようにぱんぱんに晴れ上がった短いその腕で、
彼は何度も何度も、滴り落ちるその汗をぬぐっていた。
しかも、、いじめに加わっているのは、ギャルのようなイケイケの部類の
女子生徒だけでなく、ごくごく普通の女子生徒やいわゆる陰キャと
呼ばれる女子生徒までもが参加していた。
ギャルと陰キャ女子、、犬猿の仲のように見えるが、
醜い姿である例の男子生徒を、そのいじめのターゲットにした時だけは、
なぜか互いにニコニコし合い、キャッキャッ、キャッキャッし合っていた、、
本当にたちが悪い。。
それでも、クラスの5人の女子生徒たちは、太りあがった彼のお腹や腕に、
何度もシャーペンや鉛筆をぐさぐさと突き刺し、けたけたと笑い転げていた。
「こいつの体、おもろ~い~笑 鉛筆で刺すたびに、中から肉汁があふれ出て
くるよ笑笑。 チビなくせに、カロリーどんだけ蓄えてんだよっ笑。」
「うわっ、幸恵、、やめてよ刺すの。。こっちに汗が飛び散ってくる
じゃん笑笑。 体臭もうわっ、、なんか吐き気がでてきた~笑」
彼の不摂生が原因なのか、、ただただ体質が原因なのか、、
気付けば教室内には、彼の腐ったような体臭が、存分に充満していた。
あまりの臭いのきつさに、優香は、思わず顔をしかめたが、
その臭いはすぐに優香の涙腺を刺激し、目を真っ赤に充血させた。
だがそんな時、クラスの男子生徒複数人が、遠くからの方から声をあげた。
「いい加減にしろよお前らっ。そこまでやることはないだろ?
てめえらは一体なにがしたくてそんなことやってんだよ?」
いわゆる、イケてるグループ男子生徒4~5人の中の一人が、
怒りの表情で、必死に、そのいじめの仲裁に入った。
他のイケてる男子生徒も同様に、いい加減にしろよと言わんばかりに、
彼の後ろにはびこるギャルたちを、きつくにらみつけていた。
優香はその姿に、かなりの感動を覚え、胸を高ぶらせたが、
案の定、それだけでは、彼女たちの勢いを止めることが出来なかった。
「ハァっ!?なんでうちらが、そんな言われ方されなきゃいけないの!?
あんたたちだって、今まで黙ってみてただけのやつらじゃんっ、
なんか都合よすぎじゃない?」
「美紀の言う通り! そうさ、お前らだって、ずっと黙って知らんぷりしてた
んじゃん、笑 なのに今更なんなの?偽善者ぶんのも甚だしいんだけど?」
あまりの口達者ぶりに、さすがの彼らも図星を突かれたのか、
なにも言い返せなくなった。。優香はその姿を見て、落胆した。
だがそんな時、、
いじめの渦中にいる彼は、おもむろに立ち上がりゆっくりとその腰をあげた。
まるで気を遣うかのように、なにも言わずに教室から出て行ってしまい、
一瞬、教室内は静まり返った。
だがそんな空気もほんの一瞬で、すぐに集団のギャルたちは、
大きな声をあげて、高々に、馬鹿笑いし始めた。
あっけないほどの、目の前の幕切れに、
優香はすこしだけ、安堵したような気分になり、胸を小さくなでおろした。
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