突然の不登校

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突然の不登校

優香は、担任の先生から伝えられた事実に、ちょっとした同情心を覚えた。 いじめられていた彼が、突然の不登校となってしまったからだ。 案の定、その顔に怒りの表情を浮かべて、担任の安西は声を荒らげた。 「いじめてたのは一体どいつなんだ?正直に今、立てっ!!」 怒り狂った先生は、これみようがしに教壇の机を叩きつけ、怒号をあげた。 先生が怒鳴り散らすのも無理はなかった。。優香が見る限り、 先生は彼のことを普段からずっと心配していたからだ。 心優しい先生は、何度も何度も、教壇を叩きつけ、怒号をあげ続けた。 それでもなにも言わないクラスの生徒に、先生はうなだれた表情をみせた。 「お前ら、恥ずかしいとは思わないのか?高校生にもなって、 まだこんなくだらないいじめなんかやって、面白がっているのか?あん?」 それでも知らんぷりを続けるいじめの加害者たちの方へちらりと目を向ける と、物凄い形相で、にらみを利かせ始めた。 怖すぎる彼の表情に、優香はかなりたじろいでしまったが、 その反面、、そんな先生の姿になんだか頼もしささえも強く感じていた。 結局、黙秘をし続ける彼女たちは、自らの行為を白状することはなかった。 放課後、優香は先生に呼び止められ、その歩みを止めた。 「おーいたいた、優ちゃん!ちょっとごめん、、頼みたいことがあるんだが。 もし良かったら、このプリントを彼の家へ持っていってあげてくれないか?」 それは今年一年分5教科すべての内容をまとめたプリント300束だった。 「なんですか、これ?」 びっくりした私は、すぐさま先生に聞き返した。 「ああ、、おそらく、もうあいつは学校にはこないだろうな。。 繊細な性格だっただけに、今回のいじめはかなり精神的に参っているはずなん だ。。さみしいけど、俺ができることはこれくらいしかないからな。。」 そう俯き加減で、せつなそうに言う先生が、いかに普段から 一人一人の生徒に向き合っていたのか、それが優香にも強く伝わってきた。 「分かりました!今日はスケジュールがちょうどなにもないので、 帰りに寄って、このプリント、彼に渡してきたいと思います。」 「ありがとう、優ちゃん!ああ、あとこれ、彼の家までの地図。 手書きで申し訳ないけど、、オレも今日は事情があってね、時間を割いて いけそうになかったんだ、助かるよ、ありがとうね。じゃあ頼んだ!」 先生は嬉しそうな表情を浮かべると、元いた職員室の方向へ帰って行った。 「よしっ、了解です!」 優香は、先生から託された優しさの詰まったプリントを見つめると、 彼がいるであろう自宅へ向かうため、その校門を足早に出ていった。
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