パラノイア

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パラノイア

ぼくが上を向くと、そこには、ばぁばがいた。 ばぁばはなぜか、自分の右うでを高いところまであげると、 それを思いっ切りぼくの顔に振り下ろした。 はじめは、ばぁばに、なにをされたのか全然わからなかったけど、、 けど、ちょっとずつちょっとずつ、ぼくのほっぺたが赤くふくれあがってい ったから、なんとなくだけど、分かったんだ。。たぶん、、 ぼくは、、ばぁばに嫌われてるんだよね? でもぼくのことを嫌いなのは、ばぁばだけじゃなかった。 背もずっとずっとおっきくて、いつでもどんなときでも、 つよくてかっこいいぼくの自慢のお兄ちゃん、にぃに! いつも明るくていつでも笑顔な、ぼくの自慢のお姉ちゃん、ねぇね! ぼくにとっては自慢だけど、だけど、なぜかいつも、、 ぼくのお顔をたたくんだ。。 お顔だけじゃないよ、? きのうだって、おしりもいっぱいキックされたし、 ぼくの首も、ぼくが息ができなくなるくらいにまで、しめるんだ。 この前なんてそのせいで、ぼく、、なんでか急に、寝ちゃったんだもん! ぜんぜん寝むたくもなかったのに。 でもね? でもね?、、ぼくにだって、、ぼくにだって、、 つっよい味方のヒーローが、ひとりだけいるんだよ。 聞きたい?  ねぇ、聞きたいでしょ?  それはね! そのひとはね!! ぼくのママっ!! 自慢のぼくのママ! ママだけはいつもいっつもやさしかったんだ! いつもなにしても笑ってくれたし、ぼくのことをいっつも守ってくれるし! だからぼくはそんなやさしいママのことが宇宙で一番大好きだったんだ!! でも、、そんなママも、、なぜか、、 急にいなくなっちゃった。。 ママがいなくなってからは前よりも、よくいじめられるようになった。 ばぁばは、お風呂の中に、ぼくのかおを入れて、十数えたりした、 にぃには、ぼくの目の中になんどもなんども、指をいれようとした。 ねぇねなんかは、ぼくの人差し指をみて、 包丁で切らせてって、笑顔で聞いてくるんだよ、? 笑っちゃうよね、? でも、、 あのときみたいに守ってくれる、やさしいママはどこにもいなかったよ。 あるとき、ばぁばがぼくにだいじな話があるっていうんだ。 6才になったぼくなら、理解できるだろうからって。 ぼくは気付いたよ、ばぁばがちょっといつもとちがうって。 いつもは怖いのに、怒っているのに、、今日だけはすごくやさしかったから。 でもそれはほんの一瞬で、またばぁばは、いつもみたいに怖い顔になって、 なにかを話しはじめようするんだ。けど、ばぁばがなにを言っているのか ぜんぜんわからないんだ。むずかしい言葉ばかり使うから。 たまにカタカナが出てきて、あっ!ってなったけど、 これも意味の分からない、カタカナ3文字だった。。 ばぁばはそれでも、ずっと、 もうずっと、怖い顔になって、はなし続けていくんだ。 6歳になったばかりの悠太には、祖母の言うことが いっさい理解できてはいなかったが、 だがその理解力の無さが、幼き悠太の心を守っていたのは言うまでもなく、 ここから一年、二年、三年、四年、五年と、長い年月が経っていくにつれ、 悠太の理解力は少しずつ成長していき、その理解力の成長と比例して、 悠太の心は、崩壊していった。
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