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きっと。ピー太郎は、どこにいってもうまくやれず、いろんな人に売り渡されて叱られてばかりの現状に落ち込んでしまったのでしょう。なんだか彼のことが可哀想になってしまいました。
そして、彼が人見知りであった、という事実をここで初めて知ったのです。いっつも喧嘩腰であった彼ですが、自分には心を開いてくれていたのでしょう。いつも遠慮なく、良いところも悪いところも言い合える仲だったということに、ここでようやく俺は思い至ったのでした。
「ピー太郎!どこだー!」
俺は彼の名前を呼びながら探し回りました。
そして、まさかと思って女神様に与えられた自分の家に戻ると――玄関口で、しょんぼりしているピー太郎に出くわしたのです。
「……ごめん、マキオ」
彼は落ち込んだように首を垂らしながら言いました。
「オラ初めて気づいたんじゃ。マキオはオラがいろんなことができなくても、失敗しても、全部受け止めてくれていたって。マキオも異世界転移で大変だったっていうのにな。……酷いこと言って、本当にごめん」
「ピー太郎……」
俺は、ピー太郎をぎゅっと抱きしめました。
「俺こそ、ごめん!もう、ピー太郎をどっかに売り飛ばしたりなんかしない!これからも一緒に頑張ろうな……!」
こうして、俺達は仲直り仲直り。
なんか大事なことを忘れてる気がするけれど、きっとこれでハッピーエンドなんでしょう。
「くおらああああ!お前みたいな能なしチキン!とっととヤキトリにされてしまえええ!」
「ちょ、誰が能なしチキンじゃい!脳みそ詰まってないのはそっちだワレェ!」
なんか、元通りになっただけの気もしますが。
めでたしめでたしなのです……多分。
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