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ピー太郎はいずこ?
「お前みたいな能なしチキン!とっととヤキトリにされてしまえええ!」
「ちょ、誰が能なしチキンじゃい!脳みそ詰まってないのはそっちだワレェ!」
そんなかんじで、売り言葉に買い言葉。俺は異世界の案内人であったマスコットキャラっぽい鳥の妖精?ピー太郎をサーカスに売ってしまいました。
ちなみにそんな俺は異世界転移してきた現代日本人というやつです。
異世界案内人を名乗るマスコットがあんまりも口が悪くてウザいので、ずっと喧嘩ばかりをしていました。確かにこの世界は現代日本とルールが違うことが山ほどあります。魔法がある反面、携帯は使えないしコンビニはないしテレビもないしで大変です。まさか漫画までないとは思わず、僕のやる気がとっても下がっていたことは確かです。
でも、来てすぐに異世界の文化に慣れるって普通無理だと思いませんか。
どうせハチャメチャな世界なら、ゲームの通りモンスターを倒したらお金が稼げるシステムを作っておいてほしいと思います。何で武器を買うのも自腹、防具買うのも自腹、賞金かかってるモンスターの首を切ってギルドに行かないとお金がもらえないなんて初見殺しのシステムなんですか。女神様とやらは、お約束のチートスキルというやつも全然くれる気配がありません。しくしくです。
そんな時に、チキン野郎から“こんなやる気のねー転移者は初めてだぜ!”なーんて言われたら。怒るのも無理ないとは思いませんでしょーか。
「ええ、魔王退治はしたくない?勇者にはなりたくないんですって?ええ、それは残念ですねえ……」
そんな俺を、断りもなく勝手に異世界に連れてきた女神様は。俺がこんな世界は嫌だから元の場所に戻してくれというと、困ったように告げたのです。
「でも、ピー太郎ちゃんを売ってしまったんでしょ?じゃあ帰ることはできませんねえ」
「え」
「元の世界とのルートを繋ぐことができるのは、専用に付けた案内妖精だけなんですよぉ」
「はああああああああ!?」
俺は思わず絶叫しましたとも。
ちょ、無理やり異世界転移させたのも腹立たしいし、チート能力をくれなかったのもムカつきますが――この天然ボケ女神ときたら!
「ふざけんな!そういうことは早く言えよおおおお!」
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