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「それに千秋さんはまだ余裕そうに見える。もしかして未来予知の能力で結果が見えてるの?」
未来予知で自分に有利な見えたため千秋は余裕なのではないか。彼方は勝手に疑い悲しい気分になった。
未来を知っているからこそ彼方の反応を楽しんでいるのかもしれない。
「彼方君。何度も言いますが私の未来予知はそんな完璧なものではないんですよ」
「わかってるよ。未来予知ってつまり、途中の式なしで計算できるようなものでしょ」
小学生らしい算数の例えに千秋は密かに感心して頷いた。
要は思考の暗算だ。例えば明日の天気が晴れるかどうか、千秋はデータから瞬時に判断できる。普通の人なら時間をかけて考えて出す答えを、千秋は即答できるのだり
しかし答えが正しくても式がなければテストでは減点されるような事で、人には未来予知とされ、非現実的な能力とされ理解されにくい。
しかし人間に出来なくもない事で、霊能力の類いではなかった。
ただしその暗算しようにも最低限の情報は必要で、この勝負の行方は情報が足らず、彼女にもまだわからないらしい。
「私が勝負しようと思ったのは勝負好きだからです。彼方君の好奇心と、いつか本気で勝負したかったので」
穏やかに語る千秋の性格は意外にも勝ち気で勝負師だ。
常日頃から彼方の好奇心に応えていくうち、それと真剣勝負がしたくなったのだろう。
だから不正もしたくはなく、ルールをきっちりと決める。
「万が一、私は彼方君と結婚しても満更ではないでしょうね。問題は彼方君ですよ」
「僕?」
「貴方は私より更に若い。婚約が決定しても貴方に心変わりされては困ります」
意外にも彼方は千秋に気に入られていた。その事に彼方は喜びつつ、恋愛感情を疑われている事にショックを受ける。
「だからこの勝負を持ちかけました。秘密を探って見つけて、それでも貴方が結婚したいと言うのならその行動は信頼に値し、結婚してもいいと思います」
「……つまり、今の僕は口ばかりでまったく信頼できないんだね」
「はい」
千秋の即答。しかし勝負一つで信頼が得られるのなら、まだ千秋とは四ヶ月の付き合いである彼方にはありがたい事だった。
口だけでない事を証明したいなら行動しかない。
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