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2 熱愛
こんなことがあった数日後。赤星が本当に取材にやってきた。彼女はラグビーのユニフォームを着て体験をする企画を言い出した。
「もうすぐワールドカップですよね!ルールが分かりませんが、私は応援しています」
「ありがとう」
アイドルの彼女が来た練習場。他の選手は浮き足立っていたが、彼は微動だにせず坂田と一緒に赤星の話に付き合った。
「新垣さん!私にパスを教えてください」
「危ないですよ」
「やりたいんです!」
しかし。華奢な彼女に危険だと察知したスタッフは、これを止めさせ、キックさせることにした。
「こうですか」
「そうですね」
彼は主にスクラムやデイフェンスをするので実はキックなんかしかことないので、ここは坂田に任せて見ていた。
「行きますよーそれ!」
「お」
彼女の蹴ったラグビーボールは、それなりに飛んだ。彼は番組的に拍手をした。
「お上手ですね」
「そうですか?じゃ、今度はトライを」
やって見たがる彼女は、彼にトライをねだった。しかし、彼はデイフェンスなので自慢じゃないがプロに入って一回しか得点したことなかった。
しかしスタッフに言われた彼は、すっとラグビーボールを持った。
「行きますよ」
「はい!」
彼はタタタタとかけて行った。そしてラインのところにきた。
「よっと」
「え」
彼は立ち止まると、チョコンとボールをおいた。
「トライっす」
「待ってください?普通は突っ込んでトライですよね」
「別にラインを越せばいいんで。これでもいいんですよ」
怪我するのが嫌だし、と言った彼を赤星は満面の笑みで微笑んだ。
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