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常連感たっぷりの彼女は足を組んでスマホを取り出し見ていた。
「くそ。アーモンドアイが来なかったか」
競馬情報を見ている様子のミイを彼は気にしないようにしていた。それに気にせずミイは他のニュースを見ているようだった。
「どうぞ」
「あ?どうも」
いつの間にかコーヒーができた彼は、香りを嗅ぐことにした。
……うーん。男は黙ってマンデリン、か。
芳しいカップを手にした彼は、日々の喧騒も忘れ優しい顔で目を伏せていた。
その時、ミイのいつものができたようだった。
「はい。お待ちどうさま」
「あんがとさん」
ここでミイはラーメンを受け取った。このメニューに彼は目を疑った。
「……ママさん。あれは?」
「ああ。裏メニューなのよ」
ママさんはニコと微笑んだ。
「そもそもね。ここは昔私の父がやっていたラーメン店だったの」
「喫茶店じゃなかったんですね」
「そうなの。だから昔からの常連さんにはラーメンを出しているのよ」
秘伝のスープは少ししか作っていないのでメニューには載せていないとママさんは言った。
「あの人は当時からのお客さんなの」
「そうなんすか」
二人はミイの話をしているのにミイはスマホの画面に夢中だった。
「くそ!相場が荒れてやがる。これは売りだな……」
「ごめんなさいね?ミイさんは株式投資で」
「いいっす。多趣味なんですね」
ギャンブル好きのミイはアイスコーヒーのストローをギリギリかじり、必死にスマホを操作していた。これを彼は横目でじっと見ていた。
「自分もラーメンいいですか」
そんな彼はまだ夢中なミイも座るカウンターの隅でラーメンを食べた。
「ママさん。美味しいです」
「良かった」
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