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3 導火線
「違いますよ?これは取材の後の食事会で」
向こうもマネージャーが同席であり、坂田もいた食事会だと説明した。これに事務所のチーフは上に確認すると話した。
「でもすんません。チームに迷惑を」
「は?お前は何を言っているんだ?」
「??」
チーフはここでニヤリと笑った。
「これはよい宣伝になるじゃないか」
「何のですか」
「決まってるだろう!ワールドカップだよ!
これのスクープのおかげで新聞紙面は新垣で埋まるとチーフは黒く微笑んだ。しかし彼は不本意であった。
「ダメっす。向こうの迷惑っす」
「待て。今確認するから」
この時。赤星の事務所と連絡が取れた。この時の話し合いで、双方とも「友人の一人」というコメントを出すことにした。
「なぜはっきり否定しないんですか」
「向こうにも色々あるんだよ」
今にしてみれば赤星はやけに自分にベタベタしていたと彼は思い出していた。こんなモヤモヤを抱いた彼は、事務所を出た後、坂田に電話してしまった。
『やはりそうでしたか』
「お前は知っていたのか」
『いや。嫁がおかしいって言ってたんで』
名探偵坂田嫁は、電話の向こうで今回の取材時の様子から、赤星の女の戦略の匂いがしていたと話した。
「どういうことだ」
『赤星さんはこのスキャンダルで名前が有名になったんすよ。狙いはそれっす』
「俺と交際って、それのどこがいいんだよ」
『嫁の話ではラガーマンなら誰でも良かったんじゃなかって』
「くそ……」
ここで坂田は息子を風呂に入れなくてはいけないので電話を切ってしまった。
この日。イライラのままの彼は、自宅に帰ってきた。
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