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そうして屋上。パイプ椅子上で足を組んでたミナトが立ち上がりゲスな笑みを向けてきた。
「三百人の生徒の異能を奪ったんだ。僕は最強だよ。君らの異能も奪った分析能力で今理解した。そして、君らが僕に勝てないこともわかる。君らみたいな雑魚の異能はいらない。逃げるなら見逃してあげるよ」
「嘘っ……」
確かになんでも奪う能力って言うけど、異能すら奪えるなんて。
「……いや、やっぱり見逃さない。一人ならいいけど、二人できたんなら他のやり方がある」
ミナトが指を鳴らした瞬間。透明な鎖がマサトを縛って、いつのまにか目の前にミナトが来ていたそうして。
「二人で争ってもらおうか」
「やめて!」
ミナトがマサトに触れる。マサトはガクッと首を曲げるとあのゾンビのような雰囲気に包まれた。
「やれ」
「おう!」
そうして、マサトはミナトをぶん殴った。
「え?」
「は?」
「……ケイ」
殴られて、呆けた顔をしているミナトに、真剣な顔でこっちを見てきたマサト。どうなってるの?
「……好きだ!」
マジで、どうなってるの?
でも、なんだか。凄い力が湧いてくる。今までの比じゃないほどの力が。
――あぁ、そうか。コレが本物なんだ。
「お前に聞かないなら。コッチを奪ってやるよ」
また一瞬で目の前まで移動してきたミナトが私の顔を掴んで笑う、でもワタシの顔を見てどんどん顔の色をなくしていく。
「なんでっ、なんでだよ!」
「アンタが馬鹿にしてきた。恋ってものの本当の力ってことだよ」
「奪えないなら。僕の元の能力で……!」
「無駄だよ」
「……なんたんだよ。お前らは」
「恋は無限! 無限を奪うことはできない! そして、無限は足しても引いても掛けても割っても無限! ラブ・イズ・インフィニティ!」
青春★万才!
「ぐわあああああ!」
強烈なアッパーがミナトに突き刺さりぶっ飛んだ。倒れた彼の体から何か力のようなものが抜け落ちていく。
「終わったようだな!」
「皆んな!」
振り向くと共に戦ったみんなが集まってきていた。各々が勝利を喜ぶ中で。私とマサトは向き合った。
「やっと言えた……。でも、まだ返事はもらえてない」
「もう、わかってるでしょ」
右頬にキスをした瞬間、あたりで拍手喝采が巻き起こった。
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