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ミナトは、校舎の屋上にいるが見えていた。部室から屋上に行くには、グランドを通って校舎に入り廊下を通って階段を駆け上がる必要がある。
作戦は、みんなで道を開けて足の速いマサトが私を屋上まで運ぶという大胆な作戦だって。でも、コレには一つ。重大なミスがある。
「無理だよ。私、もう力が出せない!」
そう、私の恋する乙女の力は恋をしないと発動しない。偽りの恋に敗れた今、もはやパワーはマイナスだ。ミナトに全部奪われて終わりに決まってる。
「なんで、マサト! みんなに伝えてよ。ユキも!」
「大丈夫! 俺に任せろ」
「ケイちゃん達なら大丈夫だから……」
そんな確証ない事を言われていると。ゾンビ生徒に囲まれてしまった。
「ウルト・オーバー! マサトくん、このは任せてケイちゃんを」
「おう!」
「やられないでね、ユキ!」
頷くと同時にユキの強烈パンチが爆発。開いた穴を縫うようにマサトは私を運び校舎に入った。しかし、もはや校舎の中はすし詰め状態。どうやって進めば。
「ゾンビ生徒。全員、その場に座れぇぇぇ!」
よく響くその声が聞こえた途端。全ゾンビ生徒達が規律正しく並んで体操座りをした。
「やはり、あの異能は悪ですね。私はこうなることがわかっていました」
「生徒会長……ごめんなさい」
「わかればいいです。そうやって学んでいくのが学生なので。さぁ、行きなさい。能力を発動してる間は、動けないのです」
あぁ、だからずっと仁王立ちだったのかと納得すると同時にマサトが走り出す。
そして階段ではすでに多くのゾンビ生徒が倒れていた。
「足はえー能力の割には遅いね! ほら、さっさといきな!」
「オウカ先輩! ありがとうございます!」
「おう、ワタシは階段で追ってくる奴らを食い止めてやるから! さっさとアイツ、ぶん殴ってやんな!」
「なんなら、先輩がやったほうが早いんじゃ……」
「そりゃあ、そうだよ。でもね、ケイ。あんた、恋を踏みにじられたんだろ?」
そう言われであの瞬間を思い出す。ミナトに裏切られたあの時を。
「一発ぶん殴ってやんな!」
「はい!」
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