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校舎での争いは終わったみたいだった。次に体育館に向かうと。そこには悲惨な光景が広がっていた。
「よぉ。校舎から来たみてぇなだな」
「……オウカ先輩ですよね」
「おうよ」
彼女はこの学校のスケバン。オウカ先輩だ。先生達もビビるその威圧感バリバリの空気は多くの生徒が傷つき倒れた体育館の中で異彩を放っている。
「なんで、今回の異能祭に?」
「一年か? なら知らねーだろーけど。ワタシは毎回異能祭に出て、この学校の中で一番異能を持ってる」
そういえば、そうか。うちの学校最強のスケバン、オウカ先輩の武勇伝は聞いている。多くの異能を扱えるセンスと、鍛え上げられた肉体のポテンシャル。
それ故に、異能祭最後の砦とも言われ、一時期は異能を手に入れるためというよりも、オウカ先輩を倒すための祭になったとか。
「ビビってんねー。辞めとくか?」
「いえ、やります」
一歩進んだ瞬間。あたりが真っ暗になった。
「一度やるって言ったなら。逃げねぇようにしてやらねぇとねぇ!」
パッと明るくはなったが、わたしと彼女との距離の間を中心とした半球状の範囲だけだった。それ以外は真っ暗だ。
「タイマンフィールド。ワタシはこれでのし上がってきたのさ」
そう言った瞬間、オウカ先輩は動き出した。しかも物凄いスピードで、気がつくと目の前にいた。
強烈な蹴りを受けて吹っ飛ばされる。タイマンフィールドと呼ばれた異能の外、真っ暗になってる部分には出れないようになっているようでその境目の壁部分に体を打ち付けた。と同時にまた高速で迫られ、首を掴まれてしまう。
「弱いね!」
圧倒的すぎる……。ここまで来たのに。だからこそ、簡単に諦めるわけにはいかない。
力を振り絞り、蹴り上げるが何かに受け止められ、左手で足も掴まれる。でも、相手は両手を塞いでしまった。この距離、ぶん殴る!
突き出した拳はなぜか受け止められた。何度殴っても顔に向かう前に何かに止められる。
「威勢はいいけど、無駄ださ。バリアーを貼る能力も持っている。そんな、雑魚いパンチじゃバリアーは破れない」
あぁ、勝てない。何をしても無駄だ。ここで、終わるんだ……私の恋。
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