問2.一歩踏み出すためには?

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「……俺?」 委員会が始まる前。 硬くてよそよそしかった1年生のテーブルを桜也が和ませた。 みんなのクラスを聞く。 スタートはそんなささいなことだった。 けど、それを生かして1年生の緊張を解いたのは紛れもなく桜也だった。 桜也はそれがすごいこととは思わないのだろうけど、私にとってはものすごい魔法だ。 桜也みたいになりたいとかまではさすがに思わないし、無理だとも思う。 ……でも。 「私ももう少し、いろんな人と関わる機会を増やしたいなって。」 「……どうして?」 「……うーん。何だろう。 世界を広げたい……のかな。 言葉にすれば。」 人に関わらず、学校で授業だけ受ける毎日。 家でお料理することだけが唯一やること。 そして、ただただ蒼兄のことを想い続けるだけの日々。 中学の頃の毎日を高校でも続けていくことになるかもしれない。 ……私が変わらなければ。 私はうんと頷く。 「狭い世界でしか過ごせない自分を少しでも変えてみたい。 桜也の彼女役は正直不安しかないんだけど……。」 「え、何で?」 「だって、私みたいな地味で大してかわいくもないし、何の取り柄もない人が、モテる桜也の彼女になるって、釣り合わないし、不自然だよ。」 「いや、そんなことないだろ。」 桜也が即答する。 優しいなぁと私はクスクス笑った。 「そんなことあるよ。私、自分のこと、ちゃんとわかってるよ。」 「いや、本当に!」 力をこめてそう言ってくれる桜也に私は笑いかけた。 「ありがと。気ぃ遣ってくれて。 でもね、周りは不思議がると思うんだよね。 何であんなモテる人が、あんな地味子を彼女にしてるのかって。 だからかえって桜也に迷惑がかかると思うから、気が進まないっていうのもあったのね。 ……一番の理由は、嘘の彼女役なんて人を騙すようなことするのに、抵抗があるってことなんだけど……。」
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