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「十分だよ。1年生の間も接点持てる。」
「おまえさぁ……。」
桜也は呆れ顔だ。
「もっと欲張ってもいいんじゃないの?」
「そんなことないでしょ。
私、かなり満足。
それに、さっき言った通り、桜也の彼女役をする私のメリット、あるわけだし。」
「……変わりたい……を叶えること?」
「そうそう。」
桜也は腕組みをして、うーんと首を捻った。
……何を悩んでるのかな?
「明日かあさって、菜々、時間取れる?」
顔をこっちに向けて、桜也が聞いてくる。
明日は土曜日。この週末は何も予定がない。
……というか、予定がある週末の方が、私にとっては珍しい。
「取れると思うけど、何?」
「んー。あとで連絡するわ。」
桜也はその場では、何も教えてくれなかった。
「あ! 連絡するためには……。」
桜也はちょっと気まずそうな表情をしながら、スマホを取り出す。
「連絡先、教えてくんない?」
「そっか、私達、そんなことも知らないんだ。
長い付き合いなのにね。」
私も自分のスマホを取り出しながら、クスクスと笑った。
そして操作をしながら話を続ける。
「……まぁ、そうは言っても、私のスマホの連絡先に登録されてるのって、家族と学校くらいで、友達の登録は初めてだけど。」
「えっ?」
桜也がギョッとしたような顔をする。
「さっき言ったでしょ? 私、友達いなかったって。
……スマホ持ったのは、中学の卒業式直前だったんだけど、かと言って、卒業式の時に連絡先交換するあてもなかったし。」
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