問2.一歩踏み出すためには?

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「スマホ持ったの、そんな最近?」 「うん。だって必要なかったし。 親には何度もいらないのかって聞かれてたんだけど、家と学校の往復しかしてなかったから、必要性を感じなかったんだよね。 中学の卒業式直前に持たされたのも、お母さんが半ば強制的に契約してきちゃって……。」 自分で話しながら、改めてつまんない人間だなぁと思う。 つまらないにも程があるよねーと変に冷静に頭の中でツッコミを入れる。 「……やっぱり、私じゃない方がよくない?」 「もうキャンセルは受け付けないって言っただろ? 逃げんな。」 桜也が小さくため息をつく。 「……これから増えていくんだろ、登録。 それに、数が多ければいいってもんでもないだろ、そんなの。」 私は自分のスマホの画面に目を落とす。 家族以外で初めて登録された桜也の名前がある。 家族以外……でも桜也は準家族みたいなものかな。 次に登録する人は誰だろう……ってぼんやり思う。 「さてと……帰るか!」 桜也が勢いよく立ち上がり、私に右手を差し伸べた。 「……何?」 「……立てる?」 「バカにしないでよ。」 でもせっかくなので、桜也の手を掴んで立ち上がった。 私を引っ張ってくれた桜也の手は思ったより大きくて、がっしりしていて、力強かった。 「小さい頃はもっとかわいい手だったのに……。」 「お前もな。」 桜也はパッと手を離して、私の先を歩き出す。 でもすぐに振り返った。 「行こーぜー。菜々。」 私は微笑んで桜也の後を追った。
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