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「そんなことするわけないでしょ!」
「何で?」
「蒼兄は学校の先生だもん。
迷惑かかるようなことはしない。」
そうなのだ。蒼兄は私の高校で3年前から教師をしている。
日本史の先生だから、1年生とは接点がないけど。
昔から知っているとか言っても、学校ではあくまでも教師と生徒なわけで、告白なんて絶対迷惑。
……まぁ、別にそうじゃなくても、私が蒼兄に告白する勇気なんて、ありっこないのだけど。
「ふーん。」
桜也はアイスコーヒーをストローで啜りながら、無表情だった。
何考えてるんだろ。
さっぱりわかんない。
「とにかくさ、俺は告白されたからって、誰かと付き合う気はないし、できればそういうシチュエーションは回避したいわけ。」
妙な沈黙の後、桜也は気持ちを切り替えるようにそう言った。
「で、お前もさ、蒼兄のことが好きで、告る気もないって言うならさ、俺の彼女のふりしてても困らないじゃん?」
「いや、困るでしょ。
それに蒼兄に誤解されるのも嫌。」
「それはさー、俺がちゃんと蒼兄に話しとけばいいだけだろ。
俺の都合で彼女役やってもらってんだーって。」
「そ、それに、桜也がこの先も告白されて困ることが起こるとは限らないじゃない。
俺、モテるから、これからも告られるとか思ってるのって、自意識過剰じゃないの?」
ぐっと桜也が言葉に詰まる。
よし! これで諦めてくれるのでは?
「……自意識過剰かもしれないけどさ……。
俺、実際、中学の頃、かなりの数の告白受けたよ?」
事実……なんだろうな……。
「みんな断ったけど、かなり面倒だったし、ちょっと申し訳なかったんだよね。」
「みんな断ったの?」
「うん。」
「何で?」
「え、だって別に好きじゃないし。」
「彼女いたことないの?」
「ねーよ。」
「何で?」
「別に欲しくなかったし。」
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