問1.好きな人のことを知るためには?

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どうしてそこまで頑なに彼女作らなかったんだろう。 「……桜也も好きな人いたの?」 「いや。」 即答だった。 そりゃそうか。 いたらどうにかなってたかもだし、今だって、こんな話を私に持ってこないか。 「中学の時の告白相手は、今は誰かと付き合うとかは考えられないから……とか、部活に打ち込みたいから……とか、何かもっともらしいこと言えば諦めてもらえたんだけどさ……。 今日の相手はそうもいかなくて。」 桜也は頭をガリガリと掻く。 「え? 何があったの?」 困ったような桜也の表情が気になり、思わず聞いてしまう。 「好きな人でもいるのかって聞かれて、曖昧な返しをしたら、いないなら待つから考えてほしいんだけどって食い下がられて。 で、仕方ないから、好きな人いるからって言っちゃってさ。 それでも食い下がろうとしたから、近いうちに告白する予定……なんて言っちゃって。」 はぁ……。 事情はわかったけど……。 「それと私が彼女のフリをするのとはつながらないんだけど。」 「つながるだろ!」 桜也は前のめりになってまくしたてる。 「あの様子だと、告白したかどうかとか、その結果どうだったかとか、聞いてくると思うし、結果うまくいって彼女が出来たとでも言わないと、諦めてくれなそうなんだよ!」 事情はわかった。 わかったけど、やっぱりその彼女役は、私じゃなくていい。 むしろ私じゃ務まらない。 「頼むよ、菜々ー。」 え? と思う。 桜也が私の名前を呼ぶなんてどれくらいぶりだろう……。 中学では、「津川」って名字で呼ばれてたし、中2くらいからは、そもそも学校で会話することがなかった。 お母さんのつながりで桜也の家にお呼ばれする機会はあったけど、その時だって菜々なんて名前で呼ばれた覚えはない。 おい、とか、あのさー、とか、そんなだった。
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