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来年は絶対に日本史を選択して、蒼兄に教わるんだと決めてた。
1年の間は、蒼兄と接点を持つ機会はないけれど、同じ校内にいれば、見かけることくらいあるだろう。
それだけでも今までと比べれば、格段にいいと思ってた。
でも……。
午後のホームルームは若干賑やかだ。
委員会に入るか、教科係になるか。
どれが楽なのか、どの教科の先生が優しいのか。
そんなことをクラスメートたちが話している。
進路委員。
確かにあった。
クラスで一人だけだ。
他の委員会は、二人出すところも多いのに。
「とりあえず、やりたいところに名前書いてもらって、定員オーバーのところは、話し合いなりジャンケンなりで決めてもらって。」
担任の説明に、みんながおもむろに立ち上がり、黒板に名前を書いていく。
私が黒板の前に立った時は、まだ進路委員は空白だった。
空白を自分の名前で埋めて席に戻る。
このままなれるといいのだけれど……。
みんなが書き終えて席に戻った。
恐る恐る顔を上げると、進路委員のスペースに、他の名前は……ない。
すんなりなれちゃった……。
「委員会は今日、放課後の集まりがあるから、それぞれの場所に忘れずに行くように。」
担任の声を聞いてドキッとする。
今日の放課後、蒼兄に会えるってことだよね?
入学式の日は、講堂で蒼兄を見かけた。
でも昨日も今日も姿を見ていない。
委員会があるなら、担当の先生だって来るはずだ。
放課後が楽しみで仕方がなかった。
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