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「そうだな……こう言ってやったらどうだ?」
椎名さんは僕のベッドの足元に座ると
高飛車にふんぞり返って長い脚を組む。
「ごきげんようお兄様方。あなたたちはしばらく動けないだろうから、僕は椎名涼介とよろしくやってるよ。ちょうど彼、暇と身体を持て余していたみたいだから都合がいいの」
どうやら僕の真似をしているつもりらしいがひどいもんだ。
僕は怒るのも通り越して大きなため息を吐いた。
「そんなんじゃダメだよ。僕ならこう言うね」
「ほう。聞かせたまえよ」
「あなたたちが仲良く肝臓を分け合ってる間に、僕も悪魔とさもしい身体を分け合うことにしたよって――」
「悪魔ってのは僕の事かい?」
椎名さんは僕の頬を両手で包むと
まんざらじゃない顔をして笑った。
「さあね。正直誰だってかまわない」
——本音だった。
「ひどいな。お兄様方だけじゃなく僕も傷ついた」
「知らないよ。人の気も知らないで」
感じているのは疎外感?
とにかく言いようのない苛立ち——。
「おい和樹!そんなことしちゃ……」
僕はこれ見よがしに自分で点滴の針を抜くと
肩を回して立ち上がった。
「もう平気。行くよ。2人が目を覚ます時、真っ先に僕の顔を見せてやるんだ」
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