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九条さんは医師の指示でそのまま病室を移され。
直に目を覚ました。
「手術はとても上手くいきました。数日は気分がすぐれないかもしれませんが、何事もなければ2週間で退院できます」
ぼんやりと天井を見つめていた目が医師を捉え
すぐに簡単な質問の受け答えができるまでになった。
僕は椎名さんに征司をお願いして。
病室の片隅に座っていた。
「それでは私は行きますが、何かあったら遠慮なくナースコールを押してくださいね」
彼の位置からは僕が見えない。
だからまだ、彼が僕の存在を把握しているとは思えなかった。
のだけれど――。
医師が病室を後にした途端。
「和樹、そこにいるね」
夢か現か——九条さんが僕の名を呼んだから。
僕は驚いて
「いるよ!」
思わず枕元まで駆け寄っていた。
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