episode263 臓器提供者①

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これ以上の面会は体に障ると。 新しい点滴を持った看護師が僕を外に追い出しに来た。 あれこれ詮索される前のちょうどいいタイミングだ。 僕はあっさり立ち上がると征司の手を取った。 「またすぐ来ます。退院できる日まで毎日来ますから」 征司は返事はしなかった。 ただ虚ろに僕を見て 『信用できるか、バーカ』と言いたげな顔をした。 部屋を出ると椎名さんが立っていた。 今になってドッと疲れが出た。 「おっと!」 再び立ち眩む僕を慌てて支え 「君らってやつは——頼むぜ、もう」 椎名さんは溜息を吐く。 「ごめんなさい」 「家に送ろうか?」 僕は首を横に振った。 「今の僕に必要なのは……温かい紅茶とマカロンとそれから理解者だ」
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