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これ以上の面会は体に障ると。
新しい点滴を持った看護師が僕を外に追い出しに来た。
あれこれ詮索される前のちょうどいいタイミングだ。
僕はあっさり立ち上がると征司の手を取った。
「またすぐ来ます。退院できる日まで毎日来ますから」
征司は返事はしなかった。
ただ虚ろに僕を見て
『信用できるか、バーカ』と言いたげな顔をした。
部屋を出ると椎名さんが立っていた。
今になってドッと疲れが出た。
「おっと!」
再び立ち眩む僕を慌てて支え
「君らってやつは——頼むぜ、もう」
椎名さんは溜息を吐く。
「ごめんなさい」
「家に送ろうか?」
僕は首を横に振った。
「今の僕に必要なのは……温かい紅茶とマカロンとそれから理解者だ」
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