40人が本棚に入れています
本棚に追加
「彼はここにいるの?」
僕は苛立たし気にナースに詰め寄る。
「ええ……あの……」
ナースは言葉を濁し
助けを求めるように再び後ろの先輩ナースを窺った。
「昨日のドクターと話してるんだろう?だったら僕も今すぐ会わせて!」
「おい、和樹」
「大事な話があるんだ!僕が先にドクターに会うはずだった!」
椎名さんが窘める手を払いのけ僕はより声を大にする。
我儘なお坊ちゃんが騒ぎ立てるので仕方なくと言った様子で。
「お静かに——話は私が伺っております」
中から助っ人に先輩ナースが現れた。
「だったらとっとと出て来いよ!——イヤ失礼、心の声だ忘れて」
心底混乱していたし。
昨夜九条敬が僕を眠らせた何かのせいでまだ軽い眩暈がしていた。
若いナースがこれ幸いとナースステーションへ逃げ帰ると。
僕の暴言など意にも介さない様子でベテランナースが口を開いた。
「それで?今すぐあなたをドクターに会わせろと仰るんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!