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傲慢でとても好感のもてるタイプじゃないが話は早そうだ。
「そうです。ドクターに肝移植の話をしに来た。僕の肝臓を兄に移植するって決めたんです。本当は僕が朝一番で来るはずだったの——彼が来るより前に。でも色々あって僕より先に彼が着いた——だからあなたは今すぐ、僕をドクターと彼のところに連れて行ってくれなくちゃ」
一気に捲し立てる僕にただ一言。
「それは無理な相談ですね」
彼女は表情一つ変えず雷神みたいな顔で言った。
「無理?どうして?僕は弟で彼は血の繋がっていない義兄だ。僕がドクターに会えないって法はないだろう?」
僕が叫び声を上げたり彼女を蹴飛ばしたりせずここまで我慢しているのは。
一重に自分の言い分に自信があったからで——。
「無理だと申し上げている理由はまずドクターがオペ中で」
だから次の言葉を聞いた時には
「臓器提供者があなたのいう血の繋がっていないお義兄様だからです」
「……へ?」
一気に天地がひっくり返ったかのように。
「あら大変」
実際僕は貧血を起こしその場にひっくり返っていた。
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