episode263 臓器提供者①

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「知ってるですって?あなたが?」 呆れてものも言えない。 何で当事者の僕が何も知らされていないのに。 完全な部外者であるあんたが知っていると言う? 頭に冷たいタオルをのせてもらいながらも。 僕は頭の中で悪態をつく。 僕の考えている事なんてこの人はお見通しだろうけど。 「生体肝移植の血液型不適合」 「え?」 聞き慣れぬ言葉に顔を上げた僕に 椎名さんはいつもより優しく微笑んだ。 「君は曲者のB型、征司くんは融通の利かないA型だろ?九条さんは?」 「……O型」 「そ。博愛主義者のO型。特に医療の世界ではO型は万能供血者と言われる」 聞いたことがある。 O型の人の血は誰にでも輸血できるんだって。 「九条さんは知ってたんだ。君がいくら臓器提供を申し出たって、血液型不適合で省かれるってことを——だけど自分なら彼を助けられるって」
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