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中川の話じゃ九条敬の根回しは物凄く早かったらしい。
昨夜のうちに医師と話をつけた。
そして僕を眠らせておいて。
中川に自分が提供者になると申し出たんだ。
夜中に無理を押し通し必要最低限の検査を済ませ。
翌朝には天宮家の当主を助けるとの名目で。
選りすぐりの腕の立つ医師を呼び手術を任せた。
彼は急いだはずだ。
僕が目覚めるまでに——何としてもオペ室に入るため。
「他人の臓器なんて……絶対征司の身体に入れたくないと僕が言ったから……?」
「そんなこと言ったの?」
「……うん」
それでも彼が提供者になる必要なんてなかったんだ。
ただきっと——。
「九条さんから移植されたものなら……僕が今まで通り征司を愛することができるって……考えたのかも……」
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