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「ごめんね。あなたを騙して。」 真っ白な空間だった。地面も空もない場所で、美嘉は裸のまま宙に浮いている。シャープな体型に壺のような乳房があった。そう、美嘉はあの桃色の乳頭を転がされるのが弱いのだ。左の乳頭に小さな黒子があって、よくそこを舐めたものだ。何かを言おうとしても、高橋はうまく声を出せなかった。 「あなたには飽きた、なんて言って、本当にごめんなさい。康介のことは愛しているし、子どもだって欲しかったよ。嘘に聞こえるかもしれないけど、これは本当なの。」 何故か詭弁に聞こえなかった。1週間前に冷めた目で家を出ていったはずの彼女が、今目の前で許しを乞いている。 「康介とのセックスは最高だった。あなたは何度も私が気持ちいいか聞いてくれたよね。あの時の返事はどれも嘘じゃないよ。」 これは走馬灯に近いのだろうか。否、走馬灯は死ぬ直前に見る記憶のスライドショーだ。だとするとこれは一体何だ。何も言えずにいると、美嘉はゆっくりとこちらに近付いた。手を伸ばせば届く、もう一度彼女に触れたい、どうせならまた戻ってきて、俺の隣で笑ってくれ。高橋は驚いていた。まだこんなにも彼女に未練があるのか。 彼女の手が高橋の頬に触れる。柔らかい、絹のような肌触り。しかし何故か温度のない感触だった。 「愛してるよ、康介。」 一体いつぶりかも分からない愛の言葉に、高橋は大粒の涙をこぼした。
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