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ベッドの上で仰向けに倒れると、カレンが巻いていたバスタオルが翻った。焼けた褐色の肌は緩やかなに波打っており、乳房が両側に零れ落ちそうだった。陰毛の無い膣は垂れた嘴のようで、先端が灰色を帯びている。小陰唇がはっきりと見えた。 「康介、立ち直り早い方?」 今まで連続で射精したことはなかった。何故か男という生き物は2度目の射精を決意しても、一度果ててしまえば一切の気力が削がれてしまう。美嘉の膣内は怖いほど自分に適していて、よく行為の最中に高橋は心の中で決意していたものだった。 「分からない。」 彼女を覆って、高橋は乳房の狭間に唇を落とした。これは汗なのか、拭き取れていないお湯なのか、それは今の高橋にとってどうでも良いことだった。体の中心を流れる川に舌を這わせてゆっくりと下に進む。その都度淫靡な声を出すものだから、高橋はさらに興奮してしまった。 「ねぇ。今度は康介が下になってよ。」 分かったと言って彼女を覆うのをやめ、高橋は隣に倒れこんだ。勢いで剥がれたタオルから解放され、硬直し続けるペニスが露わになる。 「私のも舐めて。」 高橋の眼前でカレンの両足が開かれた。ぱっくりと開いた足の上で、2つの穴がこちらを眺めている。女性器は複雑な構造をしているなと、高橋は思った。種のように実る陰核、くどく主張しない大陰唇が周りを固め、羽のような小陰唇が覆う中に赤い膣口がある。一度のセックスでこれら全てを蹂躙することは不可能だ。おそらく美嘉の体でさえ、高橋はまだ未開拓の地があると感じている。 唇を尖がらせなくとも膣に触れる距離となり、カレンは口いっぱいにペニスを頬張った。温い感触の中に硬い歯が散らばっていて、舌先が雁首を撫でていく。自分も彼女を攻めようとした時、高橋はあの匂いを嗅いだ。 それは明らかに膣口の中から香っている。透明な愛液と共に漏れるその匂いは、先ほど風呂場で嗅いだ、人を安心させる温もり。彼女の体臭なのか、それにしては先ほど体を寄せ合った時にその匂いはなかった。これほどまで性器からの匂いが強いとなると、本来であれば鼻を捥ぐような不快な臭いであろう。しかしカレンの膣から香ったその臭いは、母性と呼ぶに等しいものだ。 「んっ、すごい、康介は優しいね。」 今となってはどうでもよいことである。彼女がどんな匂いであっても、自分にとってこれは最後のセックス。高橋は鼻腔に残った母性を消すように彼女の膣を舐めた。 二つ巴とも呼ばれる体勢で、2人は互いの性器を口で刺激していった。しかしその時間も長くは続かない。既に高橋は限界が近かった。 「やばい、いきそうだ。」 口の中に含んでいるために、彼女の声はくぐもっているように聞こえた。 「いいよ。出しちゃいなよ。また元気にさせてあげるからさ。」 果たして可能なのか、それを考え始めた時には、高橋は深々と射精していた。細い管を押し上げる塊がカレンの口内で噴水となる。射精はひどく苦しい作業だ。 「うぇ、ちょっと苦い。」 上体を起こしてこちらを振り返るカレンは、精液を一滴残らず飲み干して口端から舌を覗かせていた。情けない声で高橋は答える。 「ごめん、また元気になるまで時間掛かる。」 「えー、大丈夫だよ。私頑張るから。」 一体どう頑張るというのだろうか。高橋の眼前から膣が消え、彼女は体全体を高橋の足の隙間に潜り込ませた。 「ちょっと目瞑ってて。」 何か薬を打たれるのかもしれない。しかし構わない、一度欲を吐き出してしまったのだから、彼女に任せればよいのだ。言われるがままに目を瞑る。その時に瞼の裏に映ったのは、他でもない、美嘉だった。
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