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早番で仕事を上がり勤務先の百貨店を出ると、彼は既にいた。
どちらも仕事が書き入れ時で余裕のない私達は、地下の食品フロアで何か買って帰ろうと人の流れに逆らってイルミネーションに背を向けた。
この時期、無理に会わなくてもいいのに……
本音にも背を向けてエスカレーターに乗ると、不意に何かが煌めいた。
ライトアップなんて聞いていない。訝しむ私の耳に、彼の声が飛び込む。
「なんか幸せだねぇ」
微笑むその視線の先には、お客様の笑顔があった。忙しいと言いながらも、誰かを想い誰かのために支度する年末のひと時があった。
……ああ、これがキラキラして見えたのか。
小さな幸せを汲み取る彼の言葉で、心が解ける。
そっと絡めた指を力強く握り返した手は、いつもより暖かかった。
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