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「毎年思うんだけど、こんなことなら早く結婚すれば良かったのかな」
少し哀しげに微笑んだ君が呟く。
夏の日の午後、義母の墓参りからの帰り道。
レンガ造りのショッピングモールのテラスで娘の相手をしながら、僕は小さく唸った。
かつて仕事優先だった君は今、義母と娘の対面が決して叶わない事実を悔いていた。
正直に言えば、そうだったのかもしれないと思わなくもない。
でも——
「早く結婚することを選んだ君は、それを後悔したかもしれない。後悔しない人生なんて多分ないだろうし、今が正解でいいんじゃないかな」
愛おしそうに娘を撫でる君は、確かに、母の顔だから。
疲れて大人しくなった小さな影は動かないまま、長く伸びてレンガに落ちた。僕達はそっと席を立つ。
「さ、家に帰ろう」
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