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——まずい。
僕は焦り始めた。
就職セミナーに参加するため乗ったバスは、今日に限って遅れていた。
車椅子、お年寄り、そして双子用ベビーカー。乗降に時間のかかる利用者が、何故だか多かった。
誰も悪くない。
仕方ない。
電車が一本遅れるぐらいだし、早めに出たから大丈夫。
……の筈だった。
この調子だと乗り換えの電車に間に合わず、その少しのズレの積み重ねで遅れてしまいそうだ。
「——間に合いますかね?」
そっと聞こえた小さな声に振り返ると、同じく就活スーツの女子がいた。
僕達は車内であらゆるルートを検討することにした。
偶然同じ会社に就職が決まった僕達は、後に結婚。
更に数年経って妊娠した彼女はある日、帰宅した僕に告げる。
「双子だって」
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