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今僕にビールを勧めているこの人、結構有名で、僕もカッコいいなぁって思ってたんだけどな。良いバンドと対バンさせてもらったと思うけど…ものすごい酒好きな上に酒癖悪い。そういう人多いけど。
呑めません、体質なんです、ごめんなさい。僕これもう何回言った?
「すみません、本当にダメなんです」
オレンジジュースのグラスを握りしめ、ひたすら低姿勢。
「ああ、トーリさん、すみませんね」
聞き覚えのある声に顔を上げると、玲次が良い気分って顔して、にっこりとそのトーリさんに声をかけていた。
「うちのヴォーカルがすみません。こいつ全然呑めないんですよ。コップ半分で病院行き」
「病…」
口を開きかけ、絶句。流石にそれはヤバいと思ったらしい。病院行きは…まあそうだけど、大袈裟だよ。皮膚科だし。死ぬレベルのアレルギーじゃない。
「それより俺と呑んでくださいよ」
玲次は僕と全く逆。すっごく強い。どんどん呑むくせに、つぶれてんのは見たことない。
ひょっとして、庇ってくれてんのかな?
ひょっとしなくても。
さっきまで玲次にからかわれてたんだけどな。
ガキだもんなー、龍樹くんは。
ちっちゃいからジュースでいいんだよな?
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