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     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  打ち上げの席でジュースを啜っていた僕に、崇純さんが手招きをした。  つまみ余ってるもんなー、こっち。  皿を持って行き、崇純さんのテーブルで差し出す。 「はい、どうぞ」 「…何?」 「えっ、違うんですか?」  崇純さんのきょとんとした顔が、あっという間にバカにした笑顔になる。自分が勘違いしていたことに気付いて、頭をかきつつテーブルを見回す。そのテーブルには、ルージュレイズの三人がいた。  崇純さんを挟んで、左にドラムのテツさん。右にはベースのヒロさん。その隣に、ギターのレイジさん。見た感じ、みんなハタチ前後くらいかな。今日で脱退したヴォーカルは、別のテーブルでもう一つの対バンと呑んでいた。 「こいつ、うちのローディーの香坂龍樹。ちょっトロいんだけどさ」  否定できずに笑ってごまかす。実際、僕はトロい。ドラムセットを直しに行って、スティックで殴られること数知れず。ダイブした崇純さんを助けに行って、一緒に引きずり込まれている役立たずである。 「一応、歌えるから」
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