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打ち上げの席でジュースを啜っていた僕に、崇純さんが手招きをした。
つまみ余ってるもんなー、こっち。
皿を持って行き、崇純さんのテーブルで差し出す。
「はい、どうぞ」
「…何?」
「えっ、違うんですか?」
崇純さんのきょとんとした顔が、あっという間にバカにした笑顔になる。自分が勘違いしていたことに気付いて、頭をかきつつテーブルを見回す。そのテーブルには、ルージュレイズの三人がいた。
崇純さんを挟んで、左にドラムのテツさん。右にはベースのヒロさん。その隣に、ギターのレイジさん。見た感じ、みんなハタチ前後くらいかな。今日で脱退したヴォーカルは、別のテーブルでもう一つの対バンと呑んでいた。
「こいつ、うちのローディーの香坂龍樹。ちょっトロいんだけどさ」
否定できずに笑ってごまかす。実際、僕はトロい。ドラムセットを直しに行って、スティックで殴られること数知れず。ダイブした崇純さんを助けに行って、一緒に引きずり込まれている役立たずである。
「一応、歌えるから」
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