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 ヒロさんが僕に笑いかけて、席を勧めてくれる。状況が飲み込めてからちょっとばかり緊張気味だったので、それにホッとする。 「久しぶりだね」  テツさんに言われ、はい、と返事をする。そうだ、話したことあるのはテツさんだ。 「えっと…お元気ですか?」  とりあえずの挨拶のつもりで言った一言がヘンにウケているので、たじろいでしまう。すぐそばに座っているレイジさんはニヤニヤと僕を眺めてるし。 「面白いですねぇ、この子」  ヒロさんが崇純さんに同意を求める。崇純さんも助けてはくれない。面白い、とかヘン、とかって言葉はよく僕に使われるから慣れっこだけど。 「普段どんなの聴いてる?」 「ナイトメア、ですよねー?」  そう言って、崇純さんににっこり笑ってみせる。崇純さんは偉い偉いと頭を撫でてくれる。 「本当ですよ。僕、ナイトメアのファンでローディーになったんで」 「他は?」 「他は、ルナシーとかデランジェとか、割礼とか」 「デモテープある?」 「すみません、今日崇純さんから聞いたところなんで、ないんですよ」  そんな話をしているところに、ファンの女の子がビール瓶とグラスを抱えて一気を挑戦しにきた。  その場はあっという間に一気大会と化す。  呑めない僕は、大笑いしながらそれを眺めていた。
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