7人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
4
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ウォークマンでヒロさんが作ってきた新曲を聴きながらシャーペンを振り回していると、チューニングをしていたはずの玲次がイヤホンを取り上げた。
「何?」
「何べん呼びゃ聞こえるんだ、お前は」
ヴォリュームを最大にしていたので、玲次の声は全く聞こえていなかった。
「ごめん、何だよ」
「お前んとこ、テストいつから」
そう、高校生の僕にはテストというものがある。2年生に上がれるかどうかの崖っぷち。ローディーなんてやってると、どうにも出席日数がやばくて。…頭の程度はおいておこう。
でも、玲次が何でこんなこと聞くんだろ。
「今日で終わったよ」
もしかして、進級の心配でもしてくれてんのかな。そんな思いつきも、玲次の次の言葉で一瞬のうちに何処かに飛んだ。
「うえーっ、俺、明日からだぜ」
僕は慌ててテープを止める。
「…ごめん、音量上げすぎてたみたい。聞こえなかった」
耳を疑いつつ、聞き返す。
「うち、明日からだってぇの」
「…耳悪くしたかな。音、大き過ぎたし」
「俺、明日からテストなんだけど」
「…何の?」
最初のコメントを投稿しよう!