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     ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ウォークマンでヒロさんが作ってきた新曲を聴きながらシャーペンを振り回していると、チューニングをしていたはずの玲次がイヤホンを取り上げた。 「何?」 「何べん呼びゃ聞こえるんだ、お前は」  ヴォリュームを最大にしていたので、玲次の声は全く聞こえていなかった。 「ごめん、何だよ」 「お前んとこ、テストいつから」  そう、高校生の僕にはテストというものがある。2年生に上がれるかどうかの崖っぷち。ローディーなんてやってると、どうにも出席日数がやばくて。…頭の程度はおいておこう。  でも、玲次が何でこんなこと聞くんだろ。 「今日で終わったよ」  もしかして、進級の心配でもしてくれてんのかな。そんな思いつきも、玲次の次の言葉で一瞬のうちに何処かに飛んだ。 「うえーっ、俺、明日からだぜ」  僕は慌ててテープを止める。 「…ごめん、音量上げすぎてたみたい。聞こえなかった」  耳を疑いつつ、聞き返す。 「うち、明日からだってぇの」 「…耳悪くしたかな。音、大き過ぎたし」 「俺、明日からテストなんだけど」 「…何の?」
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