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 三度も聞いて変わりなければ、とりあえずそれだけは納得しなきゃいけないだろうな。でも、何の。 「物理、古文、数Ⅱ。学年末。当たり前だろうが」 「学年末…僕んとこはね。玲次が、何の」 「学年末考査!」 「何の学年?」 「うっせぇな!」  玲次が僕の両方の頬をつまんで引っ張る。 「俺も高校生だ!」 「にゃんにぇん!?」 「あ?」  やっと手を離してくれる。僕は痛む頬を撫でながら尋ねた。 「何年ダブってんの」 「まだ一年も」 「嘘だろ」 「嘘じゃねぇよ。上手くいきゃ、来年は三年」  僕は思わず突発性難聴のふりをする。 「え? 聞こえない」 「今、俺17だぞ? いくつだと思ってんだ」 「…22か、23」  だってこれ、玲次が悪いよ。どう見たって、最低でそれくらいにしか見えないんだから。 「大人っぽいとは言われる」 「大人っぽいとは言わないよ…」 「何だよ。言ってみろよ」 「…老けてる。玲次、絶対っ」  玲次の魔の手が、またもや僕の頬に伸びる。真っ赤になっちゃうじゃん。 「やめろってーっ」 「やめるかバーカ」 「もおっ」  やっとの思いで手を払いのけて、舌を出してみせる。
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