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人間という生き物は単純で現金だ。どんな恨みつらみも眼前の果報に上書きされてしまう。
真帆と三人はグレイス号の菜園を見下ろすカフェで軽食を採っている。
ベラドンナは來未を母親と認めたようだ。天使専用の再編集が施されたため、翼を背負っている。
「いきなり、自分と同じ年の娘が出てくるってどう反応すればいいの?」
來未が戸惑うのも無理はない。「さぁね。私より印刷機を活用するアンタに不可能はないんじゃない」
玲奈は不貞腐れた。無断で囮や自爆体を発行された挙句、手近なスフェーンに意識を避難する羽目になった。
「私、気に入った」
ベラドンナは人を騙す者の魅力という花言葉を前向きにとらえ、女優を志すようだ。真帆は想う。花言葉は望郷。マオサウの新しい未来を、彼女らの故郷をずっと守り続ける事を願う。「それまでお願いね」
來未は刑期を務めるため出発した。真帆の計らいで軽く済むだろう。そして二隻は親子の未来を見守りつつ形而上へ駆け上がった
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