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化石の一夜。マスコミが各星に速報した後、続々と有象無象が押し寄せる。真帆は権限を行使して星域を封鎖したが、それでも便宜や縁故を駆使して来訪する。
見かねた玲奈は自慢の承認欲求を存分に発揮した。彼女の艦と設備はそれ用に誂えてある。
來未が静粛を一斉に呼びかけたのだ。すると雰囲気がお通夜ムードになった。
マオサウの住民は如何なる理由と道理で白骨化に至ったのか。真帆は探題の立場で近隣船舶の航海日誌と通信記録を押収した。
軍諜報部の専門家に精査を依頼。結果はシロだった。
どの便も当地に正当な理由なく出入りした痕跡がない。貿易、通関に関してはマオサウ代表部が査察機構に常時監視を届け出ており、万事清潔国として国連から表彰されるほどクリーンだ。
真っ当に商売をしていれば週十時間ほどの労働で後は遊んで暮らせる星なのだ。
それだけに著名人の別荘も多い。
「外患内憂、あるいは奇襲の可能性は?」
玲奈の問いにかぶりを振る。
真帆は周辺の軍事情報に明るい。大規模な攻撃は兵站の集積が必要で、異空間に準備したところで余剰次元の歪みに現われる。
「見たところ、内部からの攻撃ね」
彼女は即答した。同時に苦悩する。「迷宮入りだわ」
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