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「せめて、お花を」
來未が強引に墓参を言い張った。護衛付きでも降下を許すわけにはいかない。未知の病毒、薬害、被曝の恐れがある。
「遺骨収集とまで言いません。せめて母と同じ大地に」
あまりに強硬なので真帆は衛生兵に沈静を命じた。すると、そこで悶着が起きた。
來未の病床がグ号の艦橋を出る際にセキュリティを通過する。
そのセンサーが侵入されたのだ。発話装置の回線に玲奈はアクセス権限を与えていた。その親切心親切心が脆弱性になった
周到に準備された電子疫が艦内の保安と保健を一時的に乗っ取られた。來未は処置室に搬送され、そこで五体満足を得た。
「ちょ、來未さん」
マオサウ首都跡の上空に真帆は見知らぬ翼を認めた。艦を留守にしていても心まで開け放すべきでなかtった。
「あたしの失態だ」
玲奈は艦に思念を送った。天使の翼で克服できない距離がある。グレイス号の立体印刷機が早速受注生産を始める。
ものの二分も経たずに、彼女は黒鉄の翼を迎える。
GSV88ミストラル戦闘機。風防に滑り込めば、ジェットの炎が白骨の原野を焦がす。
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