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「慎太はユリとここで待ってて。パパとマスク買いに行くから!!後、家に必要な食材買うから!」
「はーい。」
両親の入っていったスーパーマーケットの前で佇む慎太は、飼い犬のユリのリードを掴んで行き交う人々を見ていた。
「ねぇ、これ見てよ。何で緊急事態宣言で外出自粛なのにこんなにゾロゾロと人が要るの?!」
ユリは、何か言い出しそうに身を乗り出して虚ろな顔をして、何一つ日常と変わらない通りを見つめていた。
「君もそう考えてるんだね。僕もそうだよ。
僕さあ、この新型ウイルスのせいで学校が休校になってさあ。友達に逢えなくて悲しいの。
でも、ユリ。君だよ。僕のそんな寂しさを癒してくれるのは。
でもさあ、あれ見なよ。
自粛破って外へ出歩く奴等さあ。
あんなんじゃ、新型ウイルスは何時までも収まらないよ・・・怖いよね、ユリ。」
「・・・きゃん!!」
そして慎太は、目の前のなみなみと積まれたマスクの束を目をやった。
どんっ!!
「邪魔よ!!ガキが!!」
人陰に押し倒された慎太と飼い犬のユリがその時に見上げた先を見て、思わず絶句した。
「・・・!!」
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