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「パパ・・・ママ・・・何で?!」
悪夢だった。というより、警告通りだった。
スーパーマーケットで、マスクの取り合いになった事で感染クラスターが発生して、多くの客が新型ウイルスに感染してしまったのだ。
慎太の父も母も例外ではなく、マスク騒動の数日後に発熱してしまい、病院に運ばれて検査の結果、新型ウイルスが陽性だと判明してしまったのだ。
そして今、病院のベッド数が他の感染者でいっぱいになった為に自宅療養しているのだ。
「パパ・・・ママ・・・」
慎太は、涙目で呻いている両親に声をかけた。
「げほっ!げほっ!大丈夫よ・・・」
「俺としたことが・・・すまん慎太・・・げほっ!げほっ!」
幸いにも慎太も検査をしたが、新型ウイルスは陰性だったが、慎太の心には深く後悔の念ばかり浮かんでくるばかりで、とうとう塞ぎこんでしまった。
「何で僕だけ・・・」
ぺろっ。
隣で愛犬のユリが慎太の顔を舐めてきた。
「そうだよ。慎太。あの時、私が停めてられれば・・・何で私は犬だったんだろ。
人間の言葉を喋れて警告してれば、こんなことにならなかったんだよね・・・」
「解るよユリ。君も悔しいけど、やっぱり後悔後に立たずだよね・・・」
~密ですスーパー~
~fin~
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