2.初恋は記憶の底に

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「ここの高校、地元から近いでしょ?だから、小学校の同級生も結構たくさん来てるんだよ。クラス違うけど、岸本(キシモト) 愛莉(アイリ)とか槙野(マキノ) (ケン)とか覚えてる?」 『トンカちゃん』の本名の村田 智香にはあまりピンとこなかったけど、村田さんが口にした岸本 愛莉と槙野 憲の名前はしっかりと覚えていた。 岸本 愛莉は地元の小学校の同学年の中で可愛いと言われてた女子のひとりだったし、槙野 憲は学年の中の男子たちの中でも特にやんちゃで有名で、学年で集まるといつも悪ふざけして先生に名指しされていた。 何年も見ていない彼らの顔は朧げになっているけど、なんとなくふたりのイメージを思い浮かべながら小さく頷く。 「このクラスだったら、石塚(イシヅカ) 竜馬(リョウマ)と……」 そう言いながら廊下側に視線を向けた村田さんが、ちょうど教室のドアから入ってこようとしているふたりの男子に気付いて手を振った。
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