2.初恋は記憶の底に

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「トンカ、今年は同じクラスだな」 石塚くんが、昔からのあだ名で村田さんに気安く呼びかける。 「憲ちゃんだけ、リョウくんたちと離れちゃったねー」 「トンカは俺らより憲と同じクラスがよかっただろ?愛莉とかわってもらえば?」 「別に、そんなこと思ってないよ」 ニヤニヤと意味ありげに笑う石塚くんのお腹に、村田さんがふざけた様子で軽くパンチする。 星野くんはそれを見て楽しそうに笑っていて、3人はとても仲が良さそうだった。 3人の様子を茫然と見ていると、村田さんがハッとする。 「そうだ。そんなことよりふたりとも、覚えてる?私の後ろの席にいるの、小学校のとき一緒だった深谷 友ちゃんだったんだよ」 村田さんに言われて、石塚くんと星野くんが初めて私の存在に気付いたようにこっちに視線を向けた。 初恋相手だった星野くんはもちろん、小学生のときは私より背が低くてやんちゃな小猿みたいだった石塚くんも、ぐんと背が伸びて男の子っぽくかっこよくなっている。
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