2.初恋は記憶の底に

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席を立ったときにときどきクラスメイトの女子が話しかけてきてくれたけど、私は基本いつもひとりだった。 でも、それでいいと思っていた。 また面倒ごとを起こしたりしないように、ひとりでひっそりとしていたほうがいい。 始業式から2週間くらいで、最初の席替えがあった。 そのときにようやく星野くんの後ろの席から逃れることができて、私は心底ほっとした。 これで、星野くんと村田さんに挟まれて居心地の悪い思いをしなくてもよくなる。 星野くんの後ろの席でなくなってからは、休憩時間はひとりで本を読んで過ごした。 読んでいる小説に熱中し始めたら10分間の休憩なんてあっという間で、むしろ短すぎるくらいだった。 休憩時間や昼休みは読書でやり過ごすことができたけれど、掃除の時間は少し憂鬱だった。 掃除の担当は、席替えが行われても出席番号順に6〜7人ずつにグループ分けされていて、私は星野くんと同じグループだった。
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