2.初恋は記憶の底に

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星野くんと石塚くんと槙野くんの3人は小学校の頃から仲が良さそうだったけど、今も仲が良くて部活も同じなんだ…… 私は3人の会話を聞きながら、ドアの横の壁に張り付いて彼らが教室から出ていくのをじっと待った。 「そういえば、お前らのクラスに深谷(ミタニ)いるんだろ?高2から編入してきたとかって、この前トンカが言ってた」 それまで「早くしろ」とか「遅ぇ」とか石塚くんを急かす言葉がほとんどだったのに、突然自分の名前が聞こえてきたから焦った。 こっそり隠れているのがバレてる……!? そう思ってそっとドアから教室を覗き見たけど、誰も私のほうは見ていない。 気付かれているわけでもないのに、たまたま話題に上がったんだ。 どうして私なんかの名前が…… 動揺しながらも、私はふたたびドアの横の壁に背を付けて息を潜めた。 「あ、やっぱり憲も名前覚えてるよな。俺もパッと見では気付かなかったけど、名前聞いたらすぐ思い出した」 「覚えてるよ。小学校の頃、悪さするたびに深谷に先生にチクられたよな」 私があることに気付いていない彼らの会話が続く。 声の感じと話の内容から、石塚くんと槙野くんがメインで喋っているみたいだ。
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