2.初恋は記憶の底に

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「そうそう。顔は割と可愛いのに、気が強くて正義感がめっちゃ強いやつだっただろ?けど、久々に見たらなんか目立たないおとなしい女になってんの。2年から編入って、ワケありな感じだよな。問題起こして前の学校退学になってたりして」 石塚くんらしき声がそう言って笑う。 「あぁ、それは俺も思った」 石塚くんの笑い声とともに聞こえてきたその声に、思わずドキリとした。 「あれ、カナキは深谷のこと覚えてないって言ってなかった?」 「覚えてねーわけないじゃん」 星野くん、本当は私のこと覚えてたんだ。 そう言った声が星野くんのものだとわかると、ほんの少しの期待とともに、無意識に彼の声を聞こうとより耳を澄ましてしまう。 だけど、そうして聞こえきたのは私にとっては残酷な事実だった。 「智ちゃんに聞かれて、わざとわかんないって答えた。なんかあいつ、俺の中でいい印象ないんだよなー」 「えー、何でだよ」 星野くん、わざと私のこと知らないフリしたんだ…… 偶然知ってしまった真実に、ショックを隠せない。
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